Coisas sobre futebol

日本のサッカーシーンで起きることをわりとまじめに語るブログです。観戦記等もあり。

2014年の残留争いに思う

16位大宮と勝ち点3差をつけながら得失点差では並んでいた清水。最終節で引き分け以上なら残留が決まるが、仮に大宮が勝利し清水が敗れれば逆転で 降格するという瀬戸際だった。そんな最終節、大宮はすでに降格の決定していたセレッソ大阪を2-0で退けた。いっぽう清水は、それまで相性のよかった甲府 を相手に形の見えない攻撃を繰り返し、危ういシーンをいくつか迎えながらかろうじて0-0で90分間を乗り切り、試合終了の笛とともに残留を決めた。

 

今シーズンはワールドカップのための中断期の後の7月終わりに指揮官の交代という出来事があった。それまでのゴトビ政権では、ゴトビ監督と選手たちとの間 での確執が幾度となくサポーターの間でもまことしやかにささやかれ、静岡新聞の本日の報道によれば、7/23のアウェーでのガンバ大阪戦での0-4という 大敗の後のミーティングにおけるゴトビ監督の発言が最終的に解任への引き金を引いたという。思い起こせば昨年はサポーター有志によるゴトビ監督解任を狙っ たアンケート騒動などもあった。

 

結果的に3-0で快勝したホームでの柏レイソル戦(7/27)後にゴトビ監督は解任され、それまでJ1での指揮経験のない、当時エスパルスユース監督であ りかつては「清水東三羽烏」の一人として勇名を馳せた大榎克己を監督として迎え入れた。彼こそ地元の望み続けた「レジェンド」であり、特に地元出身選手は よく知った人物であるとともに、一部サポーターのガス抜きにはうってつけの人物であった。大榎監督就任後初日は、監督とともにそれまでにない笑顔で練習場 に現れる選手たちの姿が報道された。

 

ただ、大榎監督の就任後は決して順風満帆ではなかった。それまでのゴトビ政権下ではリーグ戦のちょうど半分の17試合を消化し、6勝3分8敗21得点24 失点。勝ち点21は一応残留には足るペースであった。それに対し大榎政権発足後のリーグ戦17試合では4勝3分10敗21得点36失点の勝ち点15。状況 が好転するどころか、勝ち点にして3割強のダウン。得点力こそ変わらなかったものの、失点は1.5倍に増加した。もちろん、守備のかなめであったカルフィ ン・ヨンアピンの負傷など考慮するべき要素はあったものの、結局抜本的な守備の立て直しに成功することはなかった。

 

もちろん清水エスパルスのサポーターという立場上、残留をしてほしいという気持ちは変わらなかったが、それでも危惧していたことがいくつかある。仮にこの 大榎政権で守備の立て直しが成功しないまま残留を達成した場合、排他的な「地元愛」(そしてそれは潜在的にあるものであるため、各人がその偏りに気づくこ とはまずない)ゆえに結局ゴトビ氏に今シーズンの苦戦のすべての責任が負わされるであろうこと、そして、これもまた「レジェンド」であるがゆえに守備の崩 壊にさほど目が向けられることなく大榎体制の続投が決定され、それがサポーターの大半に受け入れられてしまうであろうこと。そしておそらく地元メディアも そのような論調になるのではないかと考えていたのだが、そんな矢先に大榎体制の続行は既定路線となり、静岡新聞で本日のこの報道がなされたのだから笑って しまう。

 

おそらくいくらかの問題があったのであろうが、2010年から2011年に移る間に主力選手の大半が抜けてしまったチームを、3年半の長きにわたりJ1に とどめたのはゴトビ氏の功績が大きいはずだ。プロとしての徹底した体調管理であったり、シュート本数こそ少ないもののより効率のよい(=1得点あたりの シュート本数の少ない)攻撃であったり、経験の少ない選手だからこそ必要だった戦い方をした結果、このクラブはJ1にとどまることができた。その事実を忘 れてゴトビ氏を悪と断じるのであればおそらく進歩はないだろう。

 

クラブやサポーターが大榎体制に求めることはおそらく長谷川健太体制の夢の再来だろう。ガンバ大阪で三冠達成目前まで来た現在の名将も、2005年の清水 での監督就任の年は残留を争っていた。しかし、若手の積極的活用などで年ごとに戦力・戦術は充実し、結局タイトルこそかなわなかったものの、清水をJ1の 強豪たらしめた。彼もまた「清水東三羽烏」の一員であり、地元にとってはレジェンドであった。レジェンドが降格の危機にあるクラブを救い、その後年ごとに 成績を上げていくという夢を、クラブもサポーターも今描いているのだと思う。

 

そもそも、大榎氏に白羽の矢が立ったのは「ほかに誰もいなかったから」という苦渋の選択の結果であり、クラブとしても暫定的に今シーズンは大榎氏を据え、 来年以降は他の人材を招へいするという構えだったはずである。海外では、ある人物に清水がオファーを出したが断られた、ということも報道されていた。察す るに、資金面で十分な人物を確保することができなかったのだろうと思う。今シーズン後半戦、守備の立て直しは結局最後まで達成されることはなかったが、仮 にそれが現有戦力の問題だとするならば、新たに守備的な選手を獲得する必要がある。しかし、もし経済的な問題で監督というポジションに新しい人材を招へい できなかったのだとすると、おそらく戦力補強でもあまり多くは望めないだろう。こう考えてしまうと、最悪来年も今年と同じようなシーンを目の当たりにする ことになるのではないかと強い不安に襲われてしまう。ただ、このままでいってしまえば、レジェンドがクラブを救ってくれる、という夢はまず達成されないと 思う。

 

ただし、「レジェンドがクラブを救う」という夢をサポーターの身勝手として断じる気は一切ない。なぜなら、サッカークラブにサポーターが託すものは夢だか らである。サッカークラブはそのような夢を見る場を提供することで、サポーターや地域の人々に貢献すべきものである。クラブが地域に人々の生活に貢献する ことで対価としての金を貰い受け、それをよりよい貢献のために使っていく。そしてまた人々がその貢献に対し金を支払う。そうした好循環が作られれば、監督 の招へいであったり戦力の充実というものは達成されるのである。

 

今回の残留争いの中で、特に後半戦はサッカーの成績という面では非常に厳しい状況が続き、出口が見えない状態になってしまった。しかし、その残留争いの中でも一筋の光が見えたことに、果たしてクラブは気づいているだろうか?

 

いよいよ残留争いに本格的に巻き込まれることになった時期から、一部のサポーターが立ち上がり、静岡県中部の各地で毎日街頭に立ち、残留に向けた寄せ書き を集めていた。そこから毎試合、最終節も含め、寄せ書きのされたオレンジ色の布が一連に縫い合わされ、サポーターにより掲げられた。いったい何千人、何万 人の人が寄せ書きをしただろうか?全員が毎試合スタジアムに来ていたわけではないが、この人たちは全員心のどこかで、清水エスパルスのことを想っていた人 たちだ。

 

寄せ書きにより顕在化されたこの人たちこそが、清水エスパルスというクラブが貢献をするべき対象であり、今回の残留争いがあったからこそ見えた一筋の光で ある。この人たちはひとりの市民であると同時に、地元の企業で働く人たち=地元の経済を動かしている人たちであることを忘れてはならない。クラブがこの人 たちとともに好い循環を作っていけるかどうかが、おそらく来年以降の大きなカギを握っているのではないだろうか。

天皇杯準決勝の動員数で考える

天皇杯準決勝@11/26(水)
ガンバ大阪(大阪)vs清水エスパルス(静岡)@味の素スタジアム(東京)
ジェフユナイテッド千葉(千葉)vsモンテディオ山形(山形)@長居スタジアム(大阪)

味の素スタジアム入場者数 6,708人(最大49,970人・収容率13.4%
(陸上トラックなし・ただしスタンドとピッチ距離は陸上競技場と差なし)
長居スタジアム入場者数 2,221人(最大50,000人・収容率4.4%
(陸上トラックあり)
→合計動員数8,929人(最大99,970人・収容率8.9%

まずなぜ権威もある天皇杯という大会の準決勝を平日に置いたか。「天皇杯」「準決勝」という名前だけで、どんなクラブが勝ち上がってきても入場者数を稼げるという公算はあったのだろうか?あるいは味スタを本拠とするFC東京、長居を本拠とするセレッソ大阪が勝ち上がってくることを期待していたのか(ちなみにFC東京はここ最近は大学生ながら代表入りした期待の新星・武藤嘉紀が、クラブとしても代表としてもリーグとしても絶賛売出し中、セレッソはいわずもがな若い「スター」の集まりで近年「セレ女」という現象を引き起こしている)。

ハコという意味では、本日の味スタの動員数を見れば極論東京都北区の西が丘サッカー場(収容人数約7,000人)でも足りる。ただ足りるどころか、会場をそちらにしたほうが都心からも近く、なおかつサッカー専用でもあるからピッチとスタンドも近いし、収容率的にも「準決勝」にふさわしい熱気をつくれたのではないだろうか。

J1~J3でいえば東京都にはFC東京東京ヴェルディ町田ゼルビアの3クラブが、大阪府にはセレッソ大阪ガンバ大阪がある。いずれも普段から十分にトップレベルの、しかもホームチームのサッカーを見る環境がある。週末の決勝であるならまだしも、平日にこのような都市でその土地に縁のないクラブの試合を開催することにどれだけ意味があるのか。果たして今日のこの2試合でそれぞれの土地のサッカー熱がどれだけ上がったのか。それであればせめてJ1~J3のクラブがない土地へ行脚させるほうがよほど興行として意味がある(そして「天皇」杯としての意味がある)のではないかと思ってしまう。

そもそも、意識して見ていないと今日が天皇杯の準決勝だなんて誰もわからない。もしFC東京セレッソ大阪が敗退した時点で集客をあきらめたということだとしたら、まあ呆れてしまう(もちろん、費用対効果を考えればわざわざプロモーションなんてかけないほうがいいのだが、それならばそもそもの開催地を考えろ、というお話)。

日程的にも会場的にも(そして会場ゆえにカード的にも)至極当然の結果といえばそうなのだが、果たしてこれで誰か反省する人間はいるのだろうか(もちろん、この動員数が勝ち上がったガンバ大阪モンテディオ山形の名誉を損ねるものでないことは論をまたない)。

それにしても清水エスパルスも、はがゆいったらありゃしない。客観的には、残留争いを優先してメンバーを落とした、そして結局決勝進出を逃した、というふうにしか見えない。もちろん、若手にチャンスをというのはわかるが、本当にこれがそのタイミングだったのか。コアなサポーターは若手を見ることができてうれしいかもしれないが、天皇杯の準決勝というハクのある試合で、新たなサポーターを獲得するための普段とは違うチャンスでもあったとしたら、今日の予想スタメンが出た時点で「どの選手をエサに友達を誘うか」という観点からはかなりハードルの高いものになってしまった。

とにもかくにも、こうなってしまったら狙い通り土曜の試合に集中し、必ず勝ち点3を獲得し残留の確度を上げていただきたい。降格は絶対に許されない。天皇杯優勝したけど降格しちゃった、ならば後々ネタにもなるが、天皇杯もみすみす逃しながらしかも降格した、ではまったくもって笑いごとにもならない。

今そこにあるサッカーを愛してみる

ブログというものを久しぶりにやることにしました。ツイッターFacebookもいいですが、なにせ書いたことが流れていってしまい発掘が大変なので、サッカーについて考えたことをまとめておく(そして晒しあげ各種賛同や批判や誹謗中傷を受けて考え方を磨いていく)にはブログのほうが都合がいいと考えたからです。

TVでやってるときはTVで見てそうでないときは結果だけ見てた人間が社会人になるとともに熱心なピンサポに変わり、それが高じてここ4年ほど某クラブのゴール裏のそれも中心も中心でやってきたのですが、いったん定点観測はやめてみて色んなところに顔を出しつつ、純粋にそこで起きる現象を楽しむとともに世の中でサッカーについていろいろと言われてることを題材に考えて書いていこうと思います。